中米エリアのコーヒー産地で最も有名と言っても過言ではないグアテマラ。
今回はそんな多くのコーヒー愛好家を魅了するグアテマラについてお話させて頂きます。
この記事を読んでわかることは以下の通りです。
・グアテマラコーヒーの味わいの特徴がわかる
・グアテマラの有名農園がわかる
・特定の風味を楽しむためのコーヒーの選び方がわかる
さぁ一緒にグアテマラコーヒーの香り高い世界へと足を踏み入れてみましょう!
グアテマラってどんな国?
グアテマラは太平洋とカリブ海に挟まれた中央アメリカに位置する国です。
面積は約108,889平方キロメートル。
日本の面積(約377,975平方キロメートル)のおおよそ3分の1に相当します。
人口は約1,463万人(2021年時点)で、多くの人々が農業に従事しています。
国土の約70%が火山に囲まれた山岳地帯で標高が高く、雨量が豊富。
さらには、豊かな火山土壌を持つためコーヒー栽培に理想的な条件が揃っています。
グアテマラのコーヒーの味わいの特徴
グアテマラコーヒーの味わいの特徴は柑橘系のような明るい酸味です。
深く焙煎するとほどよいコクと甘味でナッツのような香ばしさが出ます。
グアテマラコーヒーの特徴は産地によって異なりますが、一般的には以下のような特徴があります
風味 | チョコレート、カラメル、ナッツ類(特にアーモンド)のような甘い風味があります。一部の地域では、フルーツのような酸味や、スパイシーな風味も感じられます。 |
酸味 | 鮮やかながらもバランスの良い酸味が特徴です。一部の地域では、シトラス系やリンゴのような酸味を感じることもあります。 |
ボディ | グアテマラコーヒーはミディアムからフルボディで、口当たりが滑らかでクリーミーです。 |
香り | グアテマラコーヒーは通常、花やフルーツ、特にベリー系の香りがあります。また、焦がした砂糖やチョコレートのような甘い香りもしばしばあります。 |
8つの産地
グアテマラの上質なコーヒー豆は8つの主要な産地で栽培されています。
それぞれ特徴が異なり、その豊かな風味のバリエーションはグアテマラコーヒーの多様性と複雑性を引き立てます。
- アンティグア (Antigua) アンティグアはグアテマラの最も知られたコーヒー産地です。アグア、フエゴ、アカテナンゴの 3 つの火山に囲まれています。グアテマラの 3 つの活火山の 1 つであるフエゴ火山は、アンティグアの土壌にミネラル豊富な火山灰を時折降らせます。
エレガントでバランスが良く、豊かな香りと非常に甘い味わいです。 - アティトラン (Atitlan)アティトランの土壌は有機物が最も豊富です。これは地域の火山性土壌と、 アティトラン湖からの湿度の影響を受けています。
明るい柑橘系の酸味とフルボディを備えた心地よい香り。 - アカテナンゴ (Acatenango)フエゴ火山からミネラルが豊富な粗い砂質の土壌が保たれています。太平洋からの穏やかな突風と季節の変化により、コーヒーは天日乾燥されます。
際立った酸味、芳しい香り、バランスのとれたボディ、そしてきれいな余韻。 - コバン (Cobán)ここでは雨が多く、霧に覆われた天候が特徴で、これがコーヒーにユニークな風味をもたらします。コバンのコーヒーは、中程度の酸味とフルボディが特徴です。
- フライハーネス (Fraijanes)火山性の軽石土壌、非常に高い標高、多量の雨、変わりやすい湿度、そして活火山がこの地域の特徴です。活発なパカヤ山がこの地域に時折軽い降灰をもたらし、土壌に重要なミネラルを与えます。
明るく持続的な酸味。はっきりとしたボディを持つアロマティック。 - ニューオリエンテ (New Oriente)オリエンテ地域は雨が多く、風が少ないため、コーヒーの成熟が遅くなります。これにより、風味が深まり、バランスの良い酸味と豊かなボディを持つコーヒーが生まれます。
- ウェウェテナンゴ (Huehuetenango)ウェウェテナンゴは僻地にあります。この地域には川や小川が多いので、生産者が独自のコーヒーを加工するための精製施設が設置できます。
コーヒーは上質で強烈な酸味とフルボディ、心地よいワインの香りが特徴です。 - サンマルコス (San Marcos)8つのコーヒー生産地域の中で最も温暖なサン マルコスは、降水量が最も多い地域です。収穫期の降雨量は予測できないため、コーヒーの多くは事前に天日で乾燥させ、グアルディオラ乾燥機で仕上げます。
香りと味に繊細な花の香りがあり、酸味があり、ボディがしっかりしています。
アナカフェ(ANACAFE)
アナカフェとは、スペイン語で「全国コーヒー協会」を意味する言葉です。これは、グアテマラのコーヒーを作っている人たちを助けるための団体で、1982年に始まりました。
アナカフェの目指していることは、グアテマラのコーヒーを作る人たちが成功するように助け、彼らが得る利益を守ることです。
そのために、彼らに学びの場を提供したり、農業についての新しい知識を見つけたり、コーヒーの味の改良、そして、グアテマラのコーヒーを世界中で売るための広告をしたりしています。
特に、アナカフェはグアテマラのコーヒーが8つの特別な場所から来ていることを世界中に知らせることに成功しました。
これにより、人々はグアテマラのコーヒーがどれだけ多くの種類があり、特別なものであるかをより深く理解することができました。
さらに、アナカフェは自然を守るための農業のやり方を進めており、コーヒーを作る地域の人々の生活を良くすることにも力を入れています。
グアテマラの主要なアラビカ品種
ティピカ (Typica)ティピカはコーヒーの主要な品種の一つで、その他の多くの品種の祖先となっています。ティピカのコーヒー豆は、一般的には、クリーンで甘い風味、良好な酸味、そして中程度のボディを持つとされています。
ブルボン (Bourbon)ブルボンはティピカから派生した品種で、特に甘さと酸味が強いことで知られています。ブルボンのコーヒー豆は、しばしばフルーツやベリーの風味を持ち、全体的にバランスの良い風味が特徴です。
カツーラ (Caturra)カツーラはブルボンから派生した品種で、より多くの収穫量を持つことで知られています。カツーラのコーヒー豆は、ブライトで鮮やかな酸味と、中程度のボディを持つことが一般的です。
マラゴジーペ (Maragogipe)マラゴジーペはティピカから自然に変異した品種で、特にその大きな豆のサイズで知られています(そのため、「エレファント・ビーン」とも呼ばれます)。マラゴジーペのコーヒー豆は、一般的には、軽いボディとデリケートな風味、そして独特の風味プロファイルを持つとされています。
グアテマラのコーヒー豆の等級・グレード
グアテマラのコーヒーは、標高に応じて7つの等級に分けられています。
中でも「SHB(ストリクトリーハードビーンズ)」は、標高1,350m以上で採取された豆を指し、最高級の豆として知られています。
等級 | 略称 | 名称 | 標高 |
1 | SHB | ストリクトリーハードビーン | 1,350m~ |
2 | HB | ハードビーン | 1,200~1,350m |
3 | SH | セミハードビーン | 1,050~1,200m |
4 | EPW | エクストラプライムウォッシュド | 900~1,050m |
5 | PW | プライムウォッシュド | 750~900m |
6 | EGW | エクストラグッドウォッシュド | 600~750m |
7 | GW | グッドウォッシュド | ~600m |
グアテマラの主な精製方法
グアテマラのコーヒー精製方法は主に「水洗式(ウォッシュド)」が一般的です。この方法では、収穫したコーヒーチェリーの果肉を洗い流し、その後発酵させてから乾燥させます。この方法により、発酵による影響が少なくなり、クリーンで豊かな酸味が出やすいのが特徴となります。
ただし、一部の農園では「ナチュラルプロセス」や「ハニープロセス」などの精製方法も用いられています。これらの方法は、果肉を取り除かずに乾燥させるため、コーヒー豆に果肉由来の甘みや風味がより強く残る特徴があります。
グアテマラコーヒーの歴史と経済背景
1750年、グアテマラのコーヒー栽培はイエズス会修道士の手によって苗木が持ち込まれた事が始まりでした。
1860年以降、イギリスやドイツから積極的に資本が導入されコーヒー産業は大幅に発展しました。
1982年アナカフェの設立。アナカフェはグアテマラのコーヒー豆の品質を向上させ、国内外で宣伝・販売するための戦略的マーケティングとプロモーション活動を行いました。
これにより、グアテマラコーヒーのブランドイメージが強化され、世界中の消費者にその品質と特性が認識されるようになりました。
現在でも、グアテマラコーヒーは世界中で多くの人々に愛され、全世界のコーヒー輸出においてトップクラスの位置を保持しています。
グアテマラが抱える課題(さび病対策)
グアテマラを含む中米では2012年にコーヒーの葉にさびのような斑点が付き、落ちてしまう「さび病」が蔓延していました。
コーヒーが主要輸出産品であるグアテマラは経済的に大きな損失を負いました。
さび病はもともと低地での問題でしたが、温暖化の影響で高地の農園にも被害が広がっています。
この問題を繰り返さぬように、グアテマラをはじめとする中米諸国は、さまざまな対策を講じています。
国際コーヒー機関や各国のコーヒー研究所は、さび病の拡大を食い止めるための研究や、新しい耐病品種の開発に取り組んでいます。
また、農家の教育や技術支援も行われ、持続可能なコーヒー生産の実現を目指しています。
それは、さび病に強い耐性のあるハイブリッド種への切り替えによりブルボン種の減少を意味します。
しかし、このような取り組みは、グアテマラのコーヒー産業を守るだけでなく、消費者へ安心して美味しいコーヒーを楽しむことができる環境を提供しています。
グアテマラの伝統的であるブルボンが今後、絶滅するとは考えられませんが、
気軽に美味しいブルボンを飲める日もなくなるのではないかとaya_hobbitは不安を感じています。
これからもグアテマラの美味しいブルボンが飲めますようにと祈るばかりです。
注目の有名農園
サン・ミゲル農園
サン・ミゲル農園は、グアテマラの地で100年以上の歴史を持つ一族が経営しています。ここでは、特に高品質のブルボン種のコーヒー豆が収穫されています。ブルボン種は生産国がわずかで希少性が高いことで知られています。
ラ・ボルサ農園
ラ・ボルサ農園は、グアテマラのウエウエテナンゴ地区に位置しています。
1860年代にスペインの名門貴族アギレ家により開墾されたこの農園は、ウエウエテナンゴ地区で最初の農園とされています。
ラ・ボルサ農園のコーヒーは、柔らかな酸味とコク、後味のキレの良さが特徴で、毎年のオークションで上位入賞を占めるなど、その品質は世界的にも高く評価されています。
エル・インヘルト農園
エル・インヘルト農園は、グアテマラ北西部ウエウエテナンゴ県の谷沿いに深く入ったラ・リベルタ村に位置しています。
その長い伝統と品質の高さから、世界最高の農園の一つとも言われています。
ラ・エスペランサ農園
ラ・エスペランサ農園は、グアテマラのウエウエテナンゴ地区に位置しています。
1350m以上の高地で栽培され、グアテマラの中でもパカマラ種を産出することで知られる有名農園。
ラ・フォリー農園
ラ・フォリー農園は、グアテマラのアンティグア地区に位置しています。
オーナーのフランス人ペニー姉妹が農業技師のセラヤ氏に農園管理を託した農園。
シェードツリーや施肥のコントロールの良さは、アンティグアの農園の中でも随一とされています。
特に、チョコレートのような甘さや苦味をもつ深みのあるコーヒー豆を産出することで有名。
特定の風味を楽しむためのグアテマラコーヒーの選び方
ワインのような深みのある芳醇な風味を求めるなら。
産地 :ウエウエテナンゴ
品種:パカマラ・マラゴジッペ
精選方法:ウォッシュド
焙煎度 : 中煎り(ミディアムロースト)
心地よい爽やかな柑橘系のような風味を求めるなら。
産地 : コバン
品種:ブルボン
精選方法:ウォッシュド
焙煎度 : 中煎り(ミディアムロースト)
柑橘系の酸味と苦味のバランス・チョコレートのような甘い風味を求めるなら。
地 域 : アンティグア
品種 : ブルボン・カツーラ
精選方法 : ウォッシュド
焙煎度 : 深煎り(フルシティロースト)
まとめ
今回は、多くのコーヒー愛好家を魅了するグアテマラコーヒーについてお話させて頂きました。
以下の3つはもうわかりましたでしょうか?
・グアテマラコーヒーの味わいの特徴
・グアテマラの有名農園
・特定の風味を楽しむためのコーヒーの選び方
栽培地域によって様々な味わいがあります。
本記事で紹介した選び方などを参考にぜひ好みの味を見つけてください!
以上、最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。