パナマといえばエスメラルダ農園のゲイシャ種が有名です。
スペシャルティコーヒー界では、その独特な風味が非常に評価されており、他のコーヒーと比べて類まれな存在感を持ち続けています。
もはや世界最高峰といっても過言ではありません。
今回はパナマのゲイシャを中心に、この国の魅力をお伝えしようと思います。
この記事を読んでわかることは以下の通りです。
・パナマコーヒーの特徴
・エスメラルダ農園のゲイシャ種
・特定の風味を狙ったコーヒーの選び方
さぁ一緒にパナマコーヒーの香り高い世界へと足を踏み入れてみましょう!
パナマってどんな国?
パナマは中央アメリカの南部に位置しており、北にはカリブ海、南には太平洋が広がっています。
国境を接している国は、西にコスタリカ、東にコロンビアがあります。
面積は約75,420平方キロメートル。
これは日本の北海道(約83,454平方キロメートル)よりやや小さい大きさです。
人口は約420万人(2021年時点)
首都はパナマ市。
栽培されているコーヒーの約80%がアラビカ種、残りの20%はロブスタ種です。
パナマ運河が有名で、大西洋と太平洋を結ぶ重要な海上交通路であり、世界の物流にとって非常に重要な役割を果たしています。
パナマ産のコーヒーもこの運河を通じて世界中に輸出されています。
そのため、パナマ運河はパナマのコーヒー産業にとって重要なインフラとなっています。
また、2004年の「ベスト・オブ・パナマ」コーヒーコンテストでゲイシャ種が圧倒的な評価を受けました。
それ以降、パナマのゲイシャ種のコーヒーは世界的に有名になり今でも高値で取引されるようになりました。
歴史上最高額のパナマのゲイシャとは
先ほども述べたように、
2004年の「ベスト・オフ・パナマ品評会」でエスメラルダ農園のゲイシャ種が1位を獲得したことは、コーヒー業界に大きな衝撃を与えました。
オークション会場では、ゲイシャが通常のパナマ産コーヒーとは思えないほどフルーティーすぎたため混乱が起こりました。
農園主であるダニエル・ピーターソンも「発酵が変だ、違う国のコーヒーだ」と思われて失格になるかもしれないと思うほどだったそうです。
しかし、評価者たちはその驚きから立ち直ると、その年の品評会で最高の評価を付け、オークションで1ポンドあたり21ドルという歴史上最高額で落札されました。
これらはダニエル・ピーターソンがコーヒー豆の品質向上への挑戦とラニーニョ現象などのいくつもの困難に打ち勝った結果でもあります。
人気は現在でも衰えることなく世界中の人々を魅了し続けています。
現在では、最高品質のゲイシャ種のコーヒー豆は1ポンドあたり140ドルで取引されています。
このエピソードは、エスメラルダ農園のゲイシャ種のコーヒーがどれほど世界中のコーヒー愛好家や専門家から高い評価を受けているかを示しています。
また、それはパナマのコーヒー産業がどれほど高品質なコーヒーを生産しているかを示す一例でもあります。
パナマのコーヒーは1杯いくら?
ちなみに1ポンド(453.6g)、2023年時点で為替レートは1ドルが約146.26円となっています。
10gあたりの価格に直すと 451.6円です。
オークションの時点でこの値段なのでお店で1杯のコーヒーとして提供されたらいくらぐらいになるのでしょうか?
1,000円?2,000円ぐらい??
いえ違います。
日本の「サザコーヒー」で「パナマ・ゲイシャ No.227」という品種を1杯7500円で提供していたそうです。
さすが最高品質のゲイシャ!!
価格はそのぐらいになるのですね!!
パナマコーヒー豆のアラビカ品種
もちろんパナマはゲイシャだけではなく他の品種にも魅力があります。
ゲイシャ(Geisha)パナマで最も有名なコーヒー豆の品種で、その独特の風味と香りで世界中のコーヒー愛好家から高い評価を受けています。ゲイシャ種のコーヒー豆は、花のような香りとフルーツのような風味が特徴で、特にボケテ地域で生産されています。
カトゥーラ(Caturra)カトゥーラ種は、中米で広く栽培されている品種で、その高い生産性と良好な風味が特徴です。カトゥーラ種のコーヒー豆は、明るい酸味と中程度のボディを持っています。
ティピカ(Typica)ティピカ種は、アラビカ種のコーヒー豆の中でも最も古い品種の一つで、その独特の風味と香りで知られています。ティピカ種のコーヒー豆は、甘さとバランスの良い酸味が特徴です。
ブルボン(Bourbon)ブルボン種は、その甘さとフルーツのような風味で知られています。ボルボン種のコーヒー豆は、中程度のボディと鮮やかな酸味を持っています。
パナマコーヒーの味わいの特徴
柑橘系のような甘さやジャスミンやローズのような上品な花の香りがあり、すっきりとした酸味が特徴です。
一般的にはよく以下のようなフレーバーノートで表現されます。
フルーティー | ベリーやシトラス、トロピカルフルーツのような風味。 |
フローラル | ジャスミンやローズのような香り。 |
甘さ | ハニー、キャラメル、チョコレートのような甘さ。 |
クリーンな仕上がり | マイルドで程よい酸味が口の中に微かに残りスッキリした飲み心地。 |
パナマの主要なコーヒー産地と特徴
ボケテ地区
パナマで最も有名なコーヒー産地で、特にゲイシャ種のコーヒーで知られています。ボケテ地域はバルカン火山の斜面に位置しており、豊かな火山土壌と冷涼な気候が特徴です。これらの条件は、コーヒー豆の成長に最適な環境を提供し、フルーツのような風味と鮮やかな酸味を持つコーヒーを生み出します。
ボルカン地区
ボルカンはボケテと同じチリキ地方に位置しています。ともにバルカン火山によって隔てられています。両地域の強力な輸送および加工所は、この地域から生まれる高品の質の向上に貢献する重要な要素です。
レナシミエント地区
パナマとコスタリカの国境に近い高地に位置しています。この地域は、豊かな火山土壌と冷涼な気候が特徴で、これらの条件はコーヒー豆の成長に最適な環境を提供します。しかしながらコーヒーの加工や輸送のためのインフラが整っていない為、ボケテやボルカンと比べて生産性が低いです。
これらのパナマの主要なコーヒー産地は、バルカン火山、エル バジェ火山、レ イェグアダ火山という3つの火山の周囲に広がっています。
これらの地域は、独特の微気候と肥沃な火山土壌を持ち、太平洋と大西洋からの穏やかな風によって冷却されています。
北風が山を越えると霧が発生し、これがコーヒー農園を冷やしてコーヒーチェリーの成熟を遅らせます。
チェリーがゆっくりと成熟することで、糖分が高まり、コーヒーに甘さと複雑さをもたらします。
これらがコーヒー栽培に最適な環境を形成し、パナマコーヒーの特徴的な風味を生み出しています。
パナマのコーヒー豆の等級
等級 | 略称 | 名称 | 標高 |
1 | SHB | ストリクトリーハードビーン | 1,350m~ |
2 | HB | ハードビーン | 1,050m~1,350m |
3 | EPW | エクストラプライムウォッシュド | 900m~1,050m |
パナマのような山岳地帯では、地形が急で不規則なため機械による収穫が困難です。
そのため、コーヒーチェリーは手作業で一つ一つ丁寧に摘まれます。
これにより、完熟したチェリーだけを選んで収穫することが可能となり、品質の高いコーヒー豆の生産につながります。
また、手摘みによる収穫はコーヒーツリーを保護し、持続可能な栽培方法を維持するのにも役立ちます。
パナマの精製方法
パナマのコーヒー精製方法は主に以下の3つがあります
ウォッシュド(水洗式)この方法では、コーヒーチェリーから果肉を取り除き、豆だけを残します。その後、豆は水に浸けられ、自然発酵により粘液質の層(ミューシレージ)が取り除かれます。その後、豆は乾燥させ、最後に外皮(パーチメント)を取り除きます。ウォッシュド法で精製されたコーヒーは、クリーンで明瞭な風味と鮮やかな酸味が特徴です。
ナチュラル(ドライ)この方法では、コーヒーチェリーをそのまま太陽の下で乾燥させます。乾燥すると、果肉は自然に落ち、豆だけが残ります。この方法では、果肉の甘みが豆に浸透し、フルーティーで甘い風味のコーヒーが生まれます。
ハニー(セミウォッシュド)この方法はウォッシュド法とナチュラル法の中間で、果肉を部分的に取り除き、一部を豆の周りに残します。その後、豆は太陽の下で乾燥させます。この方法では、豆に果肉の甘さが部分的に浸透し、風味豊かで甘みのあるコーヒーが生まれます。
これらの精製方法は、それぞれ異なる風味のコーヒーを生み出します。
パナマでは、これらの方法を適切に使用して高品質なコーヒーが生産されています。
コーヒー産業の歴史
19世紀、パナマのコーヒー産業の歴史はヨーロッパからの移民によって始まりました。
彼らはコーヒーの種を持ち込み、現在もパナマの主要なコーヒー生産地域であるチリキ県に作物を植えました。
20世紀初頭には、ボケテ渓谷でコーヒーの生産が行われていましたが、太平洋沿岸全体でコーヒーが自生していました。
1970年ごろ、中南米ではさび病という植物にかかる病気が大流行し、コーヒーが収穫できなくなるという大事件がありました。
パナマも例外なく10年ほど、さび病の被害を受けました。
現在、パナマのコーヒー生産は82%がアラビカ種で、世界のコーヒー生産量のわずか0.1%しか占めていません。
しかし、その品質は世界的に認められています。
パナマの有名農園
エスメラルダ農園
この農園は、2004年にパナマスペシャルティコーヒー協会主催のベスト・オフ・パナマ品評会で1位を獲得したことで有名です。
その後も、その品質と独特の風味で評価を受け続けています。
エスメラルダ農園は特に、ゲイシャ種のコーヒー豆で知られています。
ドンパチ農園
ドンパチ農園はパナマのボケテ地域に位置し、1873年から続く歴史のある農園です。
この農園は、その創設者であるイタリア人のアントニオ・セラシン・シニアにちなんで名付けられました。
ドン ぺぺ エステート農園
1898年に開設され、ボルカン地域で最も古いコーヒー農園であり、パナマで最初の農園です。
ゲイシャ コーヒーを専門としていますが、ナチュラル、ハニー、ウォッシュという3つの異なる加工スタイルも得意としています。
自然なプロセスで、コーヒーの果実を全体として乾燥させ、酸味が少なくフルボディのコーヒーが作られます。
特定の風味を楽しむためのパナマコーヒーの選び方
フルーティな香りと酸味の美味しさを求めるなら。
産地 : ボケテ地区
品種:ゲイシャ、ブルボン、ティピカ
精製方法:ナチュラルプロセス
焙煎度 : 浅煎り(ミディアムロースト)〜中煎り(ハイロースト)
ミルクチョコレートのような甘味とまろやかなコクを求めるなら。
産地 : ボケテ地区
品種:カツーラ、カツアイ
精製方法:ウォシュッド・ハニープロセス
焙煎度 : 中煎り(ミディアムロースト)~深煎り(フルシティロースト)
まとめ
いかがだったでしょうか?
以下の3つに焦点を当てて記事を作成させて頂きました。
・パナマコーヒーの特徴
・エスメラルダ農園のゲイシャ種
・特定の風味を狙ったコーヒーの選び方
パナマの魅力を知ってもっとコーヒータイムをお楽しみください!