コーヒーの生産国として「エルサルバドル」を知っている方は少ないのではないのでしょうか?
実は、エルサルバドルのコーヒーは美味しいんです。
しかも、コーヒーの味わいだけでなくパカマラという個性的な品種や独特の精製方式で世界中のコーヒーファンを魅了しています。
今回は、そんな多くの魅力を持つエルサルバドル産のコーヒーについて紹介させて頂こうと思います。
この記事を読むメリット
・エルサルバドルコーヒーの味わいの特徴を理解できます。
・ユニークな品種であるパカマラについて深く知ることができます。
・新しいコーヒー体験を追求するための情報源として役立ちます。
さぁ、一緒にエルサルバドルのコーヒーの世界を楽しみましょう!
エルサルバドルってどんな国?
エルサルバドルは中央アメリカ中部に位置し、西にグアテマラ、北と東にホンジュラス、南に太平洋と接しています。
首都はサンサルバドルです。
中央アメリカで最も小さな国で国土は日本の四国とほぼ同じ位の面積です。
エルサルバドルのコーヒーの味わいの特徴
味わいの特徴は、チェリーのような甘酸っぱい酸味・チョコレートのような甘いコクです。
一般的にフレーバーノートは以下のように表現されます。
明るい酸味:クリーンでバランスの取れた酸味。レモンやオレンジ、リンゴなどのシトラス系やフルーツ系。 |
飲み心地:まろやか。 |
甘さ:カラメルやチョコレート、ハニーのような甘さ、フルーツ系の甘さ。 |
エルサルバドルの主要な産地
エルサルバドルは、小さな国でありながらも多くの高品質なコーヒーを生産しています。その中でも主要なコーヒー産地を紹介します。
サンタアナ(Santa Ana): サンタアナはエルサルバドル最大のコーヒー産地で、国の西部に位置しています。ここはエルサルバドル最大の火山であるサンタ・アナ火山の周囲に広がっており、その火山土壌はコーヒー豆の栽培に理想的な環境を提供しています。
ラリベルタ(La Libertad): エルサルバドルの首都サンサルバドル近郊に位置するラリベルタは、比較的小さな生産地ですが、品質の高いコーヒーを生産しています。
ウスルタン(Usulután): 東部の産地で、特にその生態系の多様性と火山土壌により良質なコーヒー豆が育てられています。
これらの産地それぞれで、個々の農園や生産者は独自の栽培と処理の方法を用いて、ユニークな特性を持つコーヒーを生産しています。
エルサルバドルのコーヒー産業の歴史
19世紀初頭、エルサルバドルのコーヒーの栽培は始まりました。その時期、国は経済的な変革を経験しており、インディゴ(藍)という染料用の植物からコーヒーへと農業の焦点を移していました。
コーヒーはエルサルバドルの火山性の肥沃な土壌と高地の気候に適しており、農家たちはこれを利用して生産を急速に拡大しました。
20世紀初頭には、エルサルバドルは世界のコーヒー生産の大部分を占めるようになり、この時期には国の経済はほぼ完全にコーヒー輸出に依存していました。
現在でも、コーヒー産業はエルサルバドルの経済を支えており、農業全体の3分の1、総輸出量の半分を占めています。
エルサルバドル国立農政省のコーヒー研究所(PROCAFE)
1956年コーヒー生産の品質の向上や安定性を求め、国を挙げてコーヒー研究所を設立しました。
それが、エルサルバドル国立農政省のコーヒー研究所(PROCAFE)です。
PROCAFEの使命は、エルサルバドルのコーヒー作りをもっと良くして、コーヒー農業者の生活を改善していく事です。
新しいコーヒー品種の開発、栽培管理の最適化、コーヒーの木の病害対策の研究をしています。
その結果は、コーヒー農業者がより良いコーヒーを作るためのヒントになっています。
そして、PROCAFEはコーヒー農業者に学びの場を提供しています。
その学びにより農業者が新しい知識を得て、自分たちの農園でその知識を使うことができるように、トレーニングやワークショップを提供しています。
つまり、PROCAFEはエルサルバドルのコーヒー作りをもっと良くし、農家の人たちの生活を良くし、自然を守るために大切な機会となっています。
プレミアムな特産品「パカマラ」
パカマラは比較的新しい品種で、1980年代にPROCAFEで開発されました。
見た目は非常に大きな豆でユニークな特徴を持っています。
味わいは、良質な甘さと複雑さがあります。
風味はチョコレート、ナッツ、赤いフルーツ、そしてときどきスパイシー。
世界中にパカマラ愛好家がいるため人気が高い品種ですが、
生産性が比較的低く、また栽培と収穫が難しいため、広範囲での栽培には適していません。
その結果、パカマラは比較的少ない数の農園でのみ栽培され、その独特な風味と限られた供給量から、プレミアムな特産品となっています。
エルサルバドルの主な品種
エルサルバドルはパカマラ以外にも様々な品種があります。
ブルボン(Bourbon): エルサルバドルのコーヒー生産における主要な品種の一つで、一般的には甘く、フルーティーで、チョコレートやキャラメルのような風味が感じられます。
パーカス(Pacas): パーカスはブルボンの自然な変種で、エルサルバドルで発見されました。パーカスはより生産性が高く、病気に対する耐性も持っています。味わいの面ではブルボンに近い特性を持ちます。
カトゥアイ(Catuai): カトゥアイはブラジルで開発され、エルサルバドルでも広く栽培されています。カトゥアイは生産性が高く、気象条件に対する耐性も持っています。味わいは様々ですが、良質なカトゥアイは甘みと酸味のバランスが良く、クリーンな風味を持っています。
ティピカ(Typica): ティピカはアラビカ種の中でも最も古い品種の一つで、エルサルバドルでも栽培されています。一般的には、甘みと酸味のバランスが良く、クリーンでエレガントな風味が特徴です。
エルサルバドルのコーヒー豆の等級・グレード
エルサルバドルのコーヒーのグレードは生産地の標高によって決まります。
グレード | 標高 |
ストリクトリー・ハイ・グロウン(SHG) | 1,200m以上 |
ハイ・グロウン(HG) | 900~1,200m |
セントラル・スタンダード(CS) | 900m以下 |
エルサルバドルの温泉珈琲って何?
エルサルバドルには温泉水を使った独特の精製方式があります。
国には火山地帯が広がっており、火山活動の影響で多くの温泉が形成されています。
その温泉水を使って精製されたのが「温泉珈琲」です。
温泉水に含まれる天然のミネラルと酵素が、コーヒー豆の風味を強調します。
その味わいは、優しくて甘いマイルドな風味になります。
特定の風味を楽しむためのエルサルバドルの選び方
異なる産地・品種・加工方法・焙煎度などコーヒーの選び方を理解することで、味覚の幅が広がり、コーヒーを選ぶ際の楽しさにもつながります。
バランスのよいクリーンな飲み口と柑橘系のスッキリした風味を求めるなら
産地:ラリベルタ
品種:ブルボン
精製方法:ウォッシュド
焙煎:中煎り(ミディアムロースト)~深煎り(フルシティロースト)
チェリーのような甘酸っぱい酸味・チョコレートのような甘いコクを求めるなら
産地:ウスルタン
品種:ブルボン、パカマラ
精製方法:ウォッシュド・ハニー製法
焙煎:中煎り(ミディアムロースト)~深煎り(フルシティロースト)
柔らかい飲み心地と完熟した果実のような風味を求めるなら
産地:サンタアナ
品種:パカマラ
精製方法:ハニー製法・温泉精製
焙煎度:中煎り(ミディアムロースト)
まとめ
いかがだったでしょうか?
以下の3つについてお話しさせて頂きました。
・エルサルバドルコーヒーの味わいの特徴について。
・ユニークな品種であるパカマラについて。
・新しいコーヒー体験を追求するための情報源。
あなたのコーヒータイムが豊かになることを祈っています。