3大銘柄のひとつとして名高いキリマンジャロ。
缶コーヒーや喫茶店などでよく目にすることが多いので、馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
そんなキリマンジャロコーヒーですが、その味わいの特徴をご存知ですか?
実は、甘酸っぱい酸味が特徴のコーヒーなんです。
今回は、その独特な「甘酸っぱい酸味」の秘密だけでなくキリマンジャロコーヒーの起源、その地理的・気候的背景など、このコーヒーの魅力をご紹介させて頂きます。
この記事を読むことで、以下のメリットがあります。
・キリマンジャロの魅力がわかる
・コーヒー選びや淹れ方の際の参考にすることができる
・より一層コーヒーの深い味わいと香りを楽しむことができる
キリマンジャロコーヒーの魅力をさらに感じるために、ぜひこの記事をお読みください。
キリマンジャロコーヒーとは?
キリマンジャロは、タンザニア共和国に位置する、標高5,895メートルの巨大な山です。
この山の周辺で栽培されるコーヒーはキリマンジャロコーヒーと称されます。
しかし、現在ではタンザニア産のアラビカ種のコーヒー豆は、一般的にキリマンジャロコーヒーとして認識されています。
キリマンジャロコーヒーの味わいの特徴
キリマンジャロコーヒーの味わいは、以下のような表現でしばしば評価されます。
酸味 | 柑橘系のような明るい酸味 |
甘み | ワインのような甘み |
風味 | グレープフルーツやオレンジのような爽やかな風味 |
アフターテイスト | 口の中に残るアフターテイストが明瞭でクリーン |
ボディ(飲み心地) | コク、風味や酸味をうまく引き出し、滑らかで飲みやすい |
甘酸っぱい酸味の秘密
甘酸っぱい酸味の秘密は地理的背景と精製方法にあります。
キリマンジャロの地理的背景
キリマンジャロは、アフリカ大陸の東部に位置するタンザニア共和国に存在する、標高5,895メートルの巨大な山です。この山はアフリカ大陸の最高峰として知られています。
気候的には、キリマンジャロの山麓から山頂にかけて、熱帯雨林、草原、アルパイン砂漠、氷河といった多様な気候帯が存在します。
特に、コーヒー豆が栽培されるのは、標高1,500メートルから2,500メートルの間の地域で、この地域は温暖で湿度が高く、一年を通して安定した降水量があります。
このような気候が、キリマンジャロコーヒー豆の成長にどのように影響するのでしょうか。
まず、高地での栽培は、昼夜の寒暖差が大きいため、コーヒー豆の成長がゆっくりとなります。
このゆっくりとした成長が、豆の中に糖分を蓄積させ、甘みを強化します。また、この地域の豊かな土壌は、ミネラルを豊富に含んでおり、これがコーヒー豆の風味や香りに深みをもたらします。
さらに、キリマンジャロの湿度の高い気候は、コーヒー豆の発酵プロセスにおいて、特有の甘酸っぱい酸味を生み出す要因となります。
この甘酸っぱい酸味は、キリマンジャロコーヒーの最大の特徴とも言えるでしょう。
総じて、キリマンジャロの地理的・気候的特性は、この地域で生産されるコーヒー豆の独特な風味や香りを形成する重要な要因となっています。
精製方法はウォッシュドが主流
キリマンジャロコーヒーは、ウォッシュド精製が主流となっています。この方法では、収穫されたコーヒーチェリーを水に浸けて熟度を選別し、果肉を取り除きます。その後、発酵タンクで発酵させ、発酵後に水で洗浄し、太陽の下で乾燥させます。
酸味
ウォッシュド製法のコーヒーは、酸味が際立つのが特徴です。発酵と洗浄の工程によって、豆の表面に残る果肉や粘液が取り除かれるため、コーヒーの風味がクリアになり、酸味がより強調されます。フルーティーな酸味を持つ豆の場合、ウォッシュド製法によってレモンやオレンジなど柑橘系の風味になることが多いです。
甘味と苦味
ウォッシュド製法によって加工されたコーヒーは、甘さが控えめで、苦味がバランスよく感じられるのが特徴です。
コク深く、まろやかになります。
キリマンジャロコーヒーの歴史と文化
キリマンジャロ地域でのコーヒーの栽培は、19世紀の終わり頃に始まりました。当初はアラビカ種のコーヒー豆が主に栽培され、その後の時代において、この地域のコーヒーはその高品質と独特の風味で知られるようになりました。キリマンジャロの独特な気候と土壌が、コーヒー豆の質を高め、世界中のコーヒー愛好者からの評価を受けるようになったのです。
20世紀初頭、キリマンジャロコーヒーは欧州の市場で非常に人気があり、特にドイツの消費者から高い評価を受けました。この時期、タンザニアはドイツの植民地であり、キリマンジャロコーヒーはドイツへの主要な輸出品となっていました。
ヘミングウェイの作品で普及
キリマンジャロコーヒーの歴史と文化において、文豪・アーネスト・ヘミングウェイの名作『キリマンジャロの雪』は欠かせない要素となっています。
この小説が映画化され、日本で大ヒットになりました。これがきっかけでキリマンジャロブームが到来し、キリマンジャロコーヒーの名が日本中に広がりました。この作品は、キリマンジャロの美しい風景とその神秘性を背景に、人生の終焉と回想、そして未来への希望というテーマを扱っています。
ヘミングウェイは、酒豪として有名でしたが、コーヒーの愛好家であったとも言われており、彼のこの趣向が作品を通してキリマンジャロとそのコーヒーの魅力を世界中の人々に伝えたのかもしれません。
今日、キリマンジャロコーヒーは、その歴史的背景と独特の文化を背景に、世界中のコーヒー愛好者から愛され続けています。
その甘酸っぱい酸味と深い香りは、キリマンジャロの土壌と気候、そしてその地域の人々の情熱と努力の結果であります。
豆の特徴
キリマンジャロコーヒーは、その独特な風味と香りで知られるアラビカ種のコーヒー豆を主に使用しています。このコーヒー豆の特徴を詳しく見ていきましょう。
コーヒー豆のグレード(等級)システム
キリマンジャロでは、コーヒー豆の品質を評価するために、独自のグレード(等級)システムが用いられています。
主に豆の大きさを基準に、グレードが分けられます。
AA | 6.75mm以上 |
A | 6.25mm以上~6.75mm未満 |
B | 6.15mm以上~6.25mm未満 |
C | 5.90mm以上~6.15mm未満 |
主要な品種
キリマンジャロで栽培されているアラビカ種のコーヒー豆には、いくつかの主要な品種があります。以下は、アラビカ種の主要な品種をいくつかご紹介します。
ブルボン(Bourbon): ブルボンは、フランスのブルボン島(現在のレユニオン島)で発見されたアラビカ種の品種です。タンザニアでは、ブルボン品種が広く栽培されており、甘さや複雑なフルーティーさ、そして酸味が特徴です。
ティピカ(Typica): ティピカは、アラビカ種の原種とも言われる古い品種で、世界中で栽培されています。ティピカ品種は、クリーンでバランスの良い味わいと、柑橘系の酸味が特徴です。
ケント(Kent): ケントは、インドで開発されたアラビカ種の品種です。ケント品種は、ボディのある味わいと、チョコレートやナッツのような風味が特徴です。
キリマンジャロコーヒーを最大限に楽しむドリップ
キリマンジャロコーヒーは、その独特な甘酸っぱい酸味を最大限に引き出すための適切な淹れ方が求められます。以下に、その淹れ方と楽しみ方を詳しく紹介します。
豆選び
柑橘系の風味を感じたい場合
産地:キリマンジャロ・ンゴロンゴロ
品種:ブルボン品種・ティピカ品種
上品な甘さを感じたい場合
産地:ムベヤ(Mbeya)
品種:ブルボン品種・ケント品種
おすすめの焙煎度合いは浅煎り〜中煎り
キリマンジャロコーヒーは酸味に特徴があるので浅煎り〜中煎りがおすすめです。
といっても、店頭で販売されているほとんどは中煎りだと思います。
深煎りでも美味しく飲めますが、特徴である酸味が失われやすいので注意が必要です。
ドリップ
細かい挽き目で、湯温は90℃が最適です。コーヒー10gに対して、水150mlを使用し、ゆっくりと約2〜3分かけて注ぎます。
キリマンジャロコーヒーは、その独特な風味を楽しむために、まずはミルクや砂糖を加えずにストレートで飲むことをおすすめします。
まとめ
キリマンジャロコーヒーは、タンザニア共和国のキリマンジャロ山周辺で栽培されるコーヒーのことを指します。この地域は独特の気候と土壌を持ち、それがコーヒー豆の風味や酸味に大きく影響を与えています。
キリマンジャロコーヒーの最大の特徴は、その甘酸っぱい酸味です。これは、高地での栽培と冷涼な気候がもたらす独特の環境によって形成されるもので、コーヒー愛好者から高い評価を受けています。この酸味は、コーヒーを飲む際の爽やかな後味や、深い香りの原因となります。