ニカラグア産のコーヒーは、日本ではまだ一般的ではありませんが、スペシャルティコーヒー界隈で徐々に認知されている新しい生産国です。
品種の多様性があり、味わいが飲みやすいことが特徴です。
特に、国際品評会「カップオブエクセレンス」においても注目されています。
この記事では、ニカラグア産コーヒーの魅力、歴史、品種の多様性について解説しています。
日本への輸入量はまだ少ないですが、その品質に注目が集まっています。
コーヒー産地としてのニカラグアをチェックしましょう!
ニカラグアってどんな国?
ニカラグアは中央アメリカ中部に位置する共和国で、カリブ海に面しており、ホンジュラスやコスタリカと国境を接しています。
国土は日本の約3分の1の大きさですが、人口は約600万人と少なく、日本に比べれば小規模です。南西部には中米最大のニカラグア湖があります。
ニカラグアはコーヒー栽培にも力を入れており、2002年からは国際的な品質向上を目指して「カップ・オブ・エクセレンス(COE)」というコーヒー豆の品評会を開催しています。
この品評会は、その年の最も品質の高いコーヒーを選ぶことを目的としており、ニカラグア産コーヒーは品質の高さとトレーサビリティ(産地や生産者が明確なこと)において、スペシャルティコーヒーの重要な基準を満たしています。
ニカラグアの栽培環境
ニカラグアは南北に広がる山岳地帯が特徴で、特にモモトンボ火山周辺はコーヒー栽培に適しています。この地域は高標高と火山土壌により、ミネラル豊富な環境を提供し、コーヒーの品質向上に寄与しています。また、ニカラグアは熱帯性気候で、雨季と乾季が明確に分かれており、東西で気候が異なる特徴を持っています。地表は高温多湿であるため、一般的にはコーヒー栽培には暑すぎますが、標高の高い山岳地帯は比較的涼しく、コーヒー栽培に最適な環境を形成しています。ニカラグアの土壌は、国土の面積が日本の3分の1程度でありながら、火山性で栄養豊かな特性を持ち、これがコーヒーの品質を高める一因となっています。
主な栽培地域
ニカラグアでは下記の地域で、コーヒー栽培が盛んです。
- マナグア
- マタガルパ
- ディリアンバ
- サンマルコス
- ヒノテペ
- ヌエバ・セゴビア
ニカラグア産のコーヒーの中でも、ヒノテガやマタガルパ産のコーヒーはその高品質で知られています。
しかし、最近ではヌエバ・セゴビア産のコーヒーも国際品評会で高い評価を受け、スペシャルティコーヒーの産地としての地位を確立しています。
ニカラグアでは、マナグアが最大の生産量を誇り、マタガルパ産のコーヒー豆が最高品質とされています。このように、ニカラグア産のコーヒーは年々その品質が向上し、世界的にも認知されてきています。
ニカラグアコーヒーの味わいの特徴
ニカラグア産のコーヒーは、その多様な品種と幅広い味わいが特徴です。
一般的に、ニカラグアコーヒーはすっきりとした酸味と豊かなコクがあり、柔らかい口当たりの味わいで、甘みとほんのり苦味のバランスが取れています。
各品種や農園ごとに異なる風味があるため、コーヒー選びは個性的で楽しい体験になります。また直感で選ぶこともおすすめで、宝探しのような面白さがあり、多様性を楽しむことができます。
品種の多さ
ニカラグアで栽培されるコーヒーは、その多様な品種で知られています。ほとんどがアラビカ種で、中には非常に希少性の高い品種もあります。これらの品種はそれぞれ独特の風味を持っており、様々な味わいを提供することができます。この多様性は、ニカラグア産のコーヒーに個性を与え、コーヒー愛好家にさまざまな選択肢を提供しています。
- カトゥーラ: 収穫量が多くバランスの良い味わい
- カトゥアイ :チョコレートのような甘み
- ブルボン :栽培が難しいが素晴らしい香りと濃厚なコク
- マラゴジッペ :濃厚なコクと個性的な甘み
- パカマラ :酸味とまろやかな甘さ
- ジャバニカ(ジャバ):特徴的な甘みとやわらかな苦味
ジャバニカとは?
ニカラグアで栽培されているコーヒーの品種は種類が豊富ですが、特にジャバニカが有名です。
ジャバニカは、ニカラグアで栽培されている希少で人気の高いコーヒー豆の品種です。この名前は「ジャバ」と「ニカラグア」を組み合わせた造語で、元はインドネシアのジャワ島の「ジャバコーヒー」と同じティピカロングベリー種です。19世紀初めにエチオピアからジャワ島に持ち込まれ、オランダ人によって栽培されたと言われています。その後、ニカラグアへ伝わり、今のジャバニカ種になりました。この種は日本に多く輸出されており、マイルドで飲みやすく、酸味と苦みのバランスが良いのが特徴です。ジャバニカ種はコクがありながらもクリーミーさを感じられる華やかな味わいが特徴で、バランスの良い品種として近年注目を集めています。
ニカラグア豆の格付け(グレード)
標高の高さで豆の格付けがされます。
等級 | 名称 | 略称 | 標高 |
1 | ストリクトリー・ハイ・グロウン | SHG | 1500m以上 |
2 | ハイ・グロウン | HG | 1300~1500m未満 |
3 | ミディアム・グロウン | MG | 1000~1300m未満 |
4 | ロー・グロウン | LG | 1000m未満 |
主な精製方法
・ナチュラル
・ウォッシュド
・パイプドナチュラル
ニカラグアコーヒーを楽しむ際、精製方法に注目するとその味わいの違いを楽しむことができます。
ニカラグアで主に用いられる精製方法は、ナチュラル、パルプドナチュラル、ウォッシュドの3種類です。これらの方法によって、それぞれ異なる風味のコーヒーを楽しむことができます。
ナチュラルやパルプドナチュラルといった精製方法で処理されたコーヒー豆は、中浅煎りから中煎りの焙煎度で仕上げると、強いフルーティな味わいが特徴的です。特にベリーや柑橘系の風味が豊かに感じられます。一方、ウォッシュドは、飲み心地がクリアになりレモンのような爽やかな風味になります。
ニカラグアのコーヒーの歴史
ニカラグアでのコーヒー栽培は1850年代に始まり、ヨーロッパからの移民が砂糖などと共にコーヒーを持ち込んだのがその始まりとされています。当初は小規模で始まった栽培ですが、政府の支援により1870年代には国の主要輸出品目となりました。コーヒー産業はその後も成長を続け、1992年にはニカラグア最大の農作物になりましたが、1998年のハリケーン・ミッチやコーヒー価格の暴落により打撃を受けました。現在では、約45,000の小規模農園がコーヒー栽培に従事しており、生産量は約140トンとされ、その多くはヨーロッパに輸出されています。これは米国よりも欧州市場で高い価格がつくためです。
インフラが進まずコーヒー産業に問題が・・
ニカラグアはコーヒー栽培に適した環境を持ちながらも、インフラの問題が産業の発展を妨げています。この国のコーヒーは、急な勾配の火山地帯で栽培されていますが、交通システムの弱さが輸送と流通の障害となっています。豊かな風味を持つニカラグアコーヒーが生産されているものの、輸送の困難さが市場への流通を困難にしており、これがコーヒー農家が他の作物へ転作する原因となっています。また、この交通インフラの未発達さが、日本でのニカラグアコーヒーの流通量を限定している現状もあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ニカラグアコーヒーの特徴は品種の多様性と飲みやすい味わいです。
インフラの課題や国際市場での立ち位置など、様々な困難があり日本では流通していないニカラグアですが、
見かけた時には是非一度試しに飲んでみて下さい。
貴重な体験ができると思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました。