コーヒー好きなら一度は耳にしたことがあるであろうモカコーヒー。
実は、モカコーヒーとはエチオピアとイエメンの両方から輸出されるコーヒー豆を指します。
そのため、ひと言でモカコーヒーといっても様々な種類が存在するので、なかなか識別がややこしいのです。
そこで今回は、その名前の由来や、様々な種類の識別、味わいなど、モカコーヒーの特徴について解説させて頂きます。
この記事を読むことで、モカコーヒーの深い理解が得られ、次回コーヒーを選ぶ際の選択肢が広がることでしょう。
モカは品種ではなく港の名前
モカコーヒーの名前はイエメンの港町モカに由来します。
コーヒーの発祥地はエチオピアとされておりますが、
商業的な目的でコーヒー栽培が始まったのはイエメンが最初でした。
イエメンの商人たちは、エチオピアや自国であるイエメンで採れたコーヒー豆をモカ港に運び、そこからヨーロッパへと輸出しました。
このため、モカ港から輸出されたコーヒー豆は「モカコーヒー」と呼ばれるようになりました。
モカコーヒーは、その独特の風味と香りから「コーヒーの祖」とも称され、世界最古のコーヒーブランドとも言われています。
この地域で生まれたコーヒーは、その後ヨーロッパをはじめとする世界中に広まり、現在では多くの人々に愛されています。
このように、モカコーヒーはコーヒー文化の発展に大きな影響を与え、その名前は今もなお、高品質なコーヒー豆を指す象徴として世界中で使われています。
モカコーヒーの味わいの特徴は?
モカコーヒーはフルーティーな酸味と華やかな香りが特徴です。
苦味はほとんどなく、そのバランスの良さが多くのコーヒー愛好家から愛されています。
酸味は、柑橘系のフルーツを思わせるような爽快さがあり、酸化によるものではないため、新鮮さを感じさせます。
また、この酸味はモカコーヒーの最大の特徴とも言え、その中には独特の甘みやコクも感じられます。
これらの組み合わせがモカコーヒーの魅力を一層引き立てています。
モカコーヒーの種類(エチオピアとイエメン)
モカコーヒーといえばエチオピアを思い浮かべる人もいると思います。
前述した通り、モカコーヒーとはエチオピアとイエメンの両方から輸出されるコーヒー豆を指します。
モカコーヒーは、その産地や地域によってさまざまな種類に分けられます。
これらは通常、「モカ+収穫地域名」の形式で呼ばれます。イエメン産とエチオピア産のモカコーヒーには、それぞれ特徴的なものがあります。
エチオピア産の代表的なものには
- モカ・シダモ
- モカ・ハラー
- モカ・アビシニア
- モカ・イルガチェフェ
イエメン産の代表的なモカコーヒーは
- モカ・マタリ
などがあります。
モカコーヒーの等級
モカコーヒーの等級は、イエメンとエチオピアでそれぞれ異なる基準に基づいて設定されています。
これらの基準は国際的な品質基準や等級とは異なるため、参考程度に考えておくと良いでしょう。
エチオピア産モカコーヒーの等級
等級 | 欠点豆の数(300g中) |
G1 | 0~3個 |
G2 | 4~12個 |
G3 | 13~27個 |
G4 | 28~45個 |
G5 | 46~90個 |
G6 | 91個以上 |
エチオピアはコーヒー豆の栽培に適した風土を持つ国で、特に標高1600〜2200mの高地はコーヒー豆の栽培に最適な環境を提供しています。
エチオピア産のコーヒー豆は、300gの生豆に対する欠点豆の数によって等級が決定されます。
G1からG6までの等級があり、G1は欠点豆が3個以内、G6は91個以上と定義されています。
しかし、輸出されるのはG6までで、特に高品質なG1は限られた一部の地域でしか生産されません。
イエメン産モカコーヒーの等級
イエメン産のコーヒー豆は、No.9、No.8というように分けられています。
最高品質のものがNo.9になります。
しかし、その格付けのための条件が曖昧なところがあるので、品質に一貫性がありません。
最高グレードであっても欠点豆の混入やサイズのバラツキが多いです。
モカコーヒーの歴史
1300年代、イエメンのモカ地域で初めてコーヒーが商業的に栽培され始めました。
その当時、イエメンはオスマン帝国(現在のトルコ)の統治下にあり、帝国はコーヒーの価値を理解し、モカからのコーヒー苗木の輸出を禁じました。
この措置により、イエメンは約250年間、コーヒー栽培の独占権を保持しました。
その結果「モカ」はコーヒーを指す一般名詞となりました。
これは500年以上前のことで、その時点からコーヒーは価値ある商品とされていました。
1600〜1800年頃、ヨーロッパ各国は香辛料貿易や植民地支配のために東インド会社を設立しました。これらの会社は、貿易だけでなく軍事権も持っていました。
特にイギリスの東インド会社は、アヘン(麻薬)を輸出するなど、暗黒面も持っていました。
1616年、オランダの東インド会社の船がモカを訪れ、コーヒー豆をアムステルダム(オランダ)に持ち帰りました。
これがイスラム世界からヨーロッパへのコーヒーの輸入の始まりでした。
その後、17世紀後半にはヨーロッパでコーヒーの需要が増え、コーヒーは定期的にオランダに輸入されるようになりました。
そして1658年、東インド会社はモカからコーヒーの苗木を持ち出すことに成功し、スリランカでの栽培に成功しました。
これにより、コーヒーの栽培はイエメンからアジアへと広がり、18世紀前半にはジャワ島がモカを生産量で上回るようになりました。
そして、コーヒーは新大陸へと広がっていきました。
モカコーヒーの焙煎度による味わいの違い
モカコーヒーの焙煎度は、その風味と香りに大きな影響を与えます。焙煎度によって、コーヒーの甘さ、酸味、苦味、そして香りが変化します。
浅煎り(ライトロースト)
浅煎りのコーヒーは、豆本来の風味と酸味が強く、フルーティーな味わいが特徴です。
中煎り(ミディアムロースト)
中煎りのコーヒーは、バランスの良い風味が楽しめます。酸味と苦味が調和し、香ばしさも感じられます。
深煎り(ダークロースト)
深煎りのコーヒーは、苦味が強く、フルボディでリッチな風味が特徴です。焙煎による香ばしさが強く、コーヒー本来の酸味は少なくなります。
焙煎度による味わいの違いを理解することで、自分の好みに合ったモカコーヒーを選ぶことができます。
まとめ
モカコーヒーはその名前が示す通り、イエメンのモカ港から世界に広まったコーヒーであり、その独特の風味と香りは世界中のコーヒー愛好家を魅了してきました。
しかし、モカコーヒーは一つの味わいだけではありません。
産地ごとに微妙に異なる風味と香りがあり、それぞれが独自の魅力を持っています。
エチオピア産のモカコーヒーはフルーティで甘みがあり、イエメン産のモカコーヒーはスパイシーで深みがあります。
焙煎度によってもその味わいは変化し、深煎りであればあるほど、その風味は豊かで強烈になります。
それぞれの産地、焙煎度のモカコーヒーを試し、自分だけのお気に入りを見つけてみてください。モカコーヒーの世界は深く、広大で、探求する価値があります。