コーヒーは全世界で愛されており、その消費量は毎年増加し続けています。
特に日本では、一人あたりのコーヒー消費量が世界第4位という高さを誇り、日々の生活の一部として広く飲まれています。
しかし、この日常の一部となっているコーヒー。
生産の背景には、
・環境問題の深刻化
・コーヒー農家の生活の困窮
・需要と供給のバランスの崩れ
といった大きな問題が隠れていることをご存知でしょうか?
今回は、これらの問題を解決へと導く「サステナビリティ」についてお話しさせて頂こうと思います。
そもそもサステナビリティとは
日本語に訳すと「持続可能性」という意味を持ちます。
これまた日本語にしても意味がわかりづらいのですが、コーヒーの世界でも非常に大切な概念です。
「サステナビリティ(持続可能性)」とは、私たちが今持っているものや、今やっていることをずっと続けられるようにするという考え方です。
つまり、今の世代だけでなく、これから先に生きる人たちも幸せに暮らせるようにするために、環境や社会、経済を大切に扱うことを目指しています。
コーヒー産業におけるサステナビリティは、以下のようなことが考えらます
- 環境への配慮(環境的持続可能性)
コーヒーの作り方によっては、森を切り倒したり、水をたくさん使ったりすることがあります。しかし、これを続けると地球が痛んでしまうし、野生動物たちも住む場所を失ってしまいます。だから、コーヒーを作るときには自然を守り、野生生物の生息地を尊重する方法を考えることが大切です。 - コーヒーを作る人の生活(社会的持続可能性)
コーヒーを作っている農家たちは、あまりお金をもらえずに大変な仕事をしていることが多いです。サステイナブルなコーヒー産業では、農家たちが公正な報酬を得て、子供たちが学校に行けるような生活ができることを目指しています。 - 経済の健全さ(経済的持続可能性)
コーヒーを作る農家たちが生活できるだけでなく、コーヒー会社も利益を出して、コーヒーを楽しむ私たちも手頃な価格で購入できる。そんなバランスのとれた経済状況を作り出すことも、サステイナブルなコーヒー産業の一部です。
つまり、コーヒー産業におけるサステナビリティとは、美味しいコーヒーをこれからもずっと楽しめるように、環境も、コーヒーを作る人たちの生活も、経済の健康も考えて、全体的にバランスの良い状態を作り出すことを目指しています。
サステナビリティが注目されるようになった背景
先にも述べたように
・環境問題の深刻化
・コーヒー農家の生活の困窮
・需要と供給のバランスの崩れ
サステナビリティが注目されるようになった主な理由です。
環境問題が深刻化
地球温暖化が進んだり、色んな種類の動植物が減ってしまうという問題が深刻化しています。これらの問題は、コーヒーが作られる地域に大きな影響を及ぼしています。コーヒーの作り方によっては、森林が切り取られたり、水をたくさん使ったりすることがあります。これが、環境問題をさらに悪化させる可能性があります。
農家の生活の困窮
コーヒーは発展途上国でよく作られますが、そこで働く農家の人たちは生活が厳しく、適切な教育や医療を受けることが難しい場合があります。
需要と供給のバランス
地球温暖化の影響でコーヒー豆が作りづらくなる一方、世界中でコーヒーの需要は増え続けています。このギャップを埋めるためには、コーヒーを作る方法を持続可能なものにすることが重要です。
サステナビリティが重視される現代のコーヒー産業の実例
たくさんのコーヒー産業がサステナビリティを重視した、あらゆる対策を取っています。
これらの取り組みは、環境への影響を低減しつつ、コーヒー生産者の生活を改善することを目指しています。
スターバックスは、サステナブルなコーヒーの調達を大々的に進めています。彼らは2020年に、「2030年までにカーボンニュートラルと再生可能な水源を100%確保し、廃棄物をゼロにする」という目標を公表しました。また、農民が持続可能な方法でコーヒーを生産するための支援も行っています。
ネスレのNespressoは、使い捨てアルミニウム製のカプセルをリサイクルするプログラムを立ち上げ、その過程でエネルギー消費と廃棄物を削減しています。この取り組みにより、彼らは環境影響を低減しつつ、製品のライフサイクル全体でのサステナビリティを追求しています。
イリーcaffèは、そのコーヒーがサステナブルであることを保証するために、「Artisti del Gusto」プログラムを実施しています。このプログラムでは、全ての供給業者がイリーcaffèの持続可能性の基準を満たすように、品質と持続可能性の面で厳しい監査が行われています。
Blue Bottle Coffeeは、ビオダイナミック農法を採用した農場からコーヒー豆を調達しています。ビオダイナミック農法とは、化学肥料や農薬を使わず、土壌と生態系の健康を重視する農法です。
サステナビリティの認証制度
サステナビリティに取り組むNGO(非政府組織)はコーヒーの消費者に徐々に受け入れられ認知度も上がってきています。
ここではそれぞれNGOの特徴をご紹介してさせて頂きます。
レインフォレスト・アライアンス認証
「レインフォレスト・アライアンス認証」は、コーヒーなどの商品が環境に優しく、生産者の生活も守られていることを証明するマークです。森林を守り、農家さんたちが公平な収入を得られるような作り方をしているかどうかをチェックしています。このマークがついた商品を選べば、自然と人々を助けることができます。
バードフレンドリー®
「バードフレンドリー」は、コーヒーが鳥たちやその生息地を保護するように作られていることを示すマークです。農園では大切な森林を守り、鳥たちが住むのに必要な木々を残すことを大切にしています。このマークがついているコーヒーを選ぶと、自然と鳥たちを守ることに一役買うことができます。
国際フェアトレード認証
「国際フェアトレード認証」は、コーヒーを作る農家さんが適正な報酬を受け取り、良い労働環境で働けることを保証するマークです。この認証があるということは、コーヒーを買うことで遠くの農家さんを支えることができます。このマークがついたコーヒーを選ぶと、世界中の人々が公平に扱われる社会をつくる助けになります。
有機JAS規格
「有機JAS規格」は、日本で商品が自然の力を活かして育てられ、化学肥料や化学合成農薬を使わずに作られていることを証明するマークです。このマークがついている商品を選ぶと、地球を守り、自分たちの体に優しいものを選んでいることになります。なので、このマークがついたコーヒーを選ぶと、自然と自分の健康を守ることにつながります。
なんだかサステナビリティって怪しくないですか?
ここまでサステナビリティについて説明をしてきましたが、
「なんだかサステナビリティって怪しいな」
と思う人も多いのではないでしょうか?
実は、aya_hobbitも最初はそう思っていました。
「サステイナブルと言う奴ほどあやしい」
善意ではなく、サステナビリティの情報を発信することで社会的信頼に繋げたいんでしょ?
つまり、ビジネスなんでしょと。
でも、私たちが美味しいコーヒーを楽しんでいる裏側では大変な問題が起きていると知ってからサステナビリティに対する考えが変わりました。
確かに、ビジネス色を強く感じることも多いけど、偽善であっても偽善じゃなくてもサステナビリティの取り組みは素晴らしいこと。
企業の取り組みだけを追うのではなく、自分達がサステナビリティに貢献するにはどうすればいいのだろうと。
今ではそのように考えています。
まとめ
サステナビリティはコーヒーの世界でもとても大切な考え方です。
私たちが毎日飲む一杯のコーヒーは、その製造過程で数多くの人々の労力と思いが込められています。
サステナブルなコーヒーを選ぶことで、私たちはコーヒー生産者の生活を支援し、品質の高いコーヒー作りを後押しすることができます。
これまで特に考えずにコーヒーを選んでいた方も、今回ご紹介した認証マークを参考に、サステナブルに配慮したコーヒーを選んでみてはいかがでしょうか。
それは小さな一歩かもしれませんが、
一人ひとりが関心を持ち、行動に移すことで世界を改善する大きな力となるのではないかと思っています。