コーヒーを知るとトレーサビリティという言葉をよく耳にすると思います。
「なんだか難しそう」と思うかもしれませんが、知ってると色々と得をする事があります。
トレーサビリティを理解して、活用したメリットは以下の通りです。
・美味しいコーヒー豆/粉を選ぶ事ができる
・味の方向性が分かるからコーヒー選びが楽しい
・自分の購入したお金が、適切な賃金として生産者に届く
・体に安心なコーヒーか確認できる
少しマニアックですが、
今回は、知ってると得する「トレーサビリティ」について紹介させて頂きます。
トレーサビリティとは?
コーヒーのトレーサビリティとは、コーヒー豆の生産から消費に至るまでの過程を追跡・把握することです。
いつ、どこで、誰が、どのような栽培でコーヒーを育てたか、詳しく情報が記載されているほど高品質なコーヒー豆である可能性が高いです。
例えば、あなたが購入しようとしたコーヒー豆が「ブラジル」としか表記がされていなければ、それは注意が必要です。
一体ブラジルは日本の何倍もの面積があるでしょうか?
いつ、どこで、誰が栽培したの?
もしかして農薬が大量に使われているのではないか?
品質を判断する必要な情報を得られないのだから不安を感じるのは当然です。
多くの方は購入を躊躇すると思います。
このようにコーヒーに関してもトレーサビリティは非常に大切なのです。
できるだけ多くの情報を明確に確認できることは消費者にとっての安心材料です。
そして、コーヒー選びのつまづきがなくなるポイントでもあります。
トレーサビリティの活用方法
トレーサビリティを活用すると以下のことができます。
・美味しいコーヒー豆/粉を選ぶ事ができる
・味の方向性が分かるからコーヒー選びが楽しい
・体に安心なコーヒーか確認できる
実際にaya_hobbitがどのように活用しているか、ざっくりとポイントを説明させていただきます。
具体的には、以下のような情報がトレーサビリティに含まれます。
生産地 | コーヒー豆が栽培された国や地域、農園名 |
生産者 | コーヒー豆を栽培している農家や生産者団体の名前 |
収穫時期 | コーヒー豆が収穫された時期 |
品種 | コーヒー豆の品種(アラビカ、ロブスタなど) |
加工方法 | コーヒー豆の洗浄や乾燥などの加工方法 |
輸送経路 | 生産地から消費地までの輸送経路や運送業者 |
サステナビリティ | 環境に優しい栽培方法やフェアトレードの取り組みなど |
・生産地(国・地域・農園名)
生産地で確認することは国・地域・農園名の情報があるか無いかです。
国・地域・農園名まで確認できればだいたい高品質なコーヒーです。
しかし逆に、国名だけの記載ならば注意が必要です。
各国の味わいの特徴についてはこれを参考にしてください。
→各国のコーヒーの特徴記事一覧
・生産者(コーヒー豆を栽培している農家や生産者団体の名前)
生産者の名前までわかるとトレーサビリティとして優れており、信頼性が高いです。しかしその分価格が高くなることが多いです。
・収穫時期(コーヒー豆が収穫された時期)
コーヒーにも旬があります。日本での旬は収穫から数か月後
①北半球(グアテマラ・ホンジュラス・エチオピアなど)→10〜3月頃
②南半球(ブラジル・ペルーなど)→4〜9月頃
③赤道直下(コロンビア・インドネシア・ケニアなど)→年2回の収穫
→コーヒーの“旬”っていつ? 生産国ごとのコーヒ豆の収穫時期
・品種(ロブスタとアラビカ)
品種によって特徴があります。
大きくわけてアラビカとロブスタ。
ロブスタ
ロブスタは品質的にはアラビカに劣ると言われています。
病害に強く、育てやすいのが特徴。
缶コーヒーやインスタントなどに使用される。
アラビカ
アラビカ種は風味のバランスが良く、豊かな香りと酸味が特徴です。
スペシャルティコーヒーとしての評価が高く、コーヒ専門店に置いてあるのはほとんどがアラビカ種。
また、アラビカは亜種がたくさんありそれぞれ異なる風味を持ちます。
ティピカ
この品種はアラビカ種の中でも最も古いものの一つで、多くの他の品種の祖先ともなっています。風味は清潔で甘く、明瞭な酸味と中程度のボディがあります。
ブルボン
ブルボンはティピカから派生した品種で、非常に甘く、フルーツの風味が強いことで知られています。
カツーラ
カツーラはブルボンから派生した品種で、短くて丸みのある形状が特徴です。この品種は豊かな酸味が特徴。
マラゴジッペ
マラゴジッペはティピカから自然に突然変異した品種で、特に大きなサイズの豆で知られています。味わいはやや淡白。
ゲイシャ
エチオピア原産のゲイシャ。その独特なフローラルな香りと独特なフルーツ風味で知られています。これらの豆から作られたコーヒーは非常に風味が豊かで、その高い品質と希少性から高価で取引されます。
パカマラ
パカマラはエルサルバドルで開発された交配種。大きなサイズの豆で知られています。パカマラの風味は豊かで、甘味があり、複雑な風味特性を持つことで知られています。
・・・など
・加工方法(コーヒー豆の洗浄や乾燥などの加工方法)
ナチュラル製法:豊潤な香りになる。
ウォッシュド製法:すっきりとした風味になる。
ウォッシュド・ハニー製法:甘味が豊かになる。
・サステナビリティ(環境に優しい栽培方法やフェアトレードの取り組みなど)
下記の認定ラベルが貼られていれば品質と価格について信頼ができます。
今回、すごく大雑把に説明しましたが、私、aya_hobbitがコーヒーを選ぶときは、こんな風に考えています。
でも、コーヒーの味はたくさんの複雑な要素が混ざり合ってできているので、結局のところそのコーヒーがどんな味なのかは飲んでみなければわからないんです。
だから、トレーサビリティの活用は、コーヒーを選ぶときに失敗する可能性を少しでも減らすためのヒントだと思ってください。
トレーサビリティが重要視された背景
トレーサビリティが重要視される背景には様々な要因があります。
倫理的・環境的な懸念
コーヒー農園は貧困問題が深刻化しているのが現状です。
コーヒー生産における「環境への影響」「不公平な取引の現状」「労働者の権利」これらの問題に対する意識が高まり、トレーサビリティが重視されるようになりました。
食品への安全意識の高まり
日本では、2003年の牛肉BSE問題を発端に食に対する安全意識が高まり、現在ではコーヒー豆を含む飲食物のトレーサビリティの実現が求められています。
テクノロジーの進歩
高度なテクノロジー、特にデジタル技術とデータ分析の進歩により、トレーサビリティを可視化することが可能になりました。
これにより、企業はトレーサビリティを確保するための具体的なツールを手に入れ、消費者は選択する商品の背後にある情報を手に入れることができるようになりました。
スペシャルティコーヒーの定義として
スペシャルティコーヒー協会は、「From Seed to Cup」の理念を掲げ、消費者に対して安全なコーヒー提供を重視しています。
つまり、スペシャルティコーヒーとして認定されるためにはトレーサビリティが必要不可欠であることを意味します。
具体的には、コーヒー豆のトレーサビリティを確立するためには、コーヒー農園の栽培条件や使用される肥料や農薬の情報などを開示することが求められます。
さらに、「フェアトレード」などの組織がコーヒー豆のトレーサビリティを評価し、その確保が認証の要件となっています。
トレーサビリティの課題と解決への取り組み
コーヒーが栽培されて消費者の手元に届くまでには、農家、輸出業者、輸入業者、焙煎業者など非常に多くの人々が関わっています。
この複雑さが、コーヒー豆を精確に生産から消費に至るまでの過程を追跡することを難しくします。
さらに、コーヒーはしばしばブレンドされるため、個々のコーヒー豆を特定することは難しくなります。
ここ数年の間にトレーサビリティは大きく改善されてきましたが、まだまだ確立するためには重要な課題が多くあります。
しかしながら、一部の企業はこれらの課題を克服し、コーヒーのトレーサビリティを改善するために積極的な取り組みを行っています。
Starbucks Coffee(スターバックス・コーヒー)
スターバックスではブロックチェーンというIT技術をトレーサビリティに応用して新しいウェブ・ツールを立ち上げました
「スターバックス・デジタル・トレーサビリティ(Starbucks Digital Traceability)」
https://traceability.starbucks.com/
このサイトはユーザーにコーヒー豆からカップまでの旅を見せるというユニークな取り組みをしています。
具体的には、スターバックス店で販売されている全豆コーヒーのバッグの裏面にある番号をスキャンまたは入力することで、ネット上の空間でコーヒーが育てられた世界のどこかへ連れて行ってもらえます。
そして、その地域でコーヒーを育てている農家に会ったり、自分のお気に入りの焙煎を行った焙煎者に会ったりすることができます
ブロックチェーンとは、データを次々に連鎖的につなげて記録する技術のことを言います。
この連鎖(チェーン)の一つ一つの部分(ブロック)には、情報が記録されています。
そして、その情報を改ざんすることは非常に難しいとされています。
サスティナビリティとの違い
サスティナビリティはよくトレーサビリティと混同されがちです。
日本語に訳すと「持続可能性」という意味を持ちます。
これまた日本語にしても意味がわかりづらいのですが、コーヒーの世界でも非常に大切な概念です。
aya_hobbitも自分たちの生活にどう関係するのかイメージができず理解するのが大変でしたが、
ざっくりと、aya_hobbitなりにこの2つの違いを解説させていただくと、
トレーサビリティ(Traceability)
トレーサビリティは、商品がどこからきて、どのように作られて、どうやってお店に来たのかを追跡すること。
例えば、コーヒー豆は、どの農場で栽培され、どの工場で焙煎され、どうやってカフェに運ばれたのかを知ることができます。
サスティナビリティ(Sustainability)
サスティナビリティとは、商品が自然環境にやさしく、人々に公平で、お金もしっかりと稼げる方法で作られていること。
例えば、コーヒー豆は森林を破壊せずに栽培され、農家は公正な賃金を受け取り、それでもコーヒーの販売で利益を得ることができるといったことです。
これら2つはつながっています。
トレーサビリティがあると、商品がサステナブルに作られていることを確認することができます。
また、サステナブルな商品は、どこから来てどう作られたかを知ることができることが多いです。
もう少し詳しく知りたい方はこちらから
→コーヒー産業におけるサステイナビリティって何?
まとめ
いかがだったでしょうか?
トレーサビリティを理解して、活用したメリットは以下の通りです。
・美味しいコーヒー豆/粉を選ぶ事ができる
・味の方向性が分かるからコーヒー選びが楽しい
・自分の購入したお金が、適切な賃金として生産者に届く
・体に安心なコーヒーか確認できる
トレーサビリティを理解してもっとコーヒーを楽しみましょう!